時代と共にモノ消費からコト消費、イミ消費へと消費者行動が変遷し、企業ブランド構築のために頭を悩ませている方々も多いのではないでしょうか。(イミ消費とは、社会に貢献できるという付加価値が含まれた消費のことです。)
さらに、新たな働き先・支援先としての企業選択軸も変化を遂げてきています。社会へどんな貢献をしているのかという視点が加わり、貢献度が高い企業の好感度が上がっています。
このように変化するステークホルダーとのさまざまなコミュニケーションが存在する現代において、適材適所の方法で企業ブランドを伝達することは至難の技です。
今回は、多様なコミュニケーションに転用可能なブランディング動画に焦点を置き、企業ブランディングにおける動画活用のポイントを事例を交えてご紹介していきます。
目次
1.企業ブランディングになぜ動画が有効か
1-1.スマホ普及による動画広告市場の拡大
2019年12月、サイバーエージェントの報告によると、動画広告市場は今後ますます拡大し、2019年の動画広告市場は2,592億円、昨年比141%の見通しで、2020年に3,289億円、2023年には5,065億円に達すると予測しました。データ通信の環境が改善されたことにより、スマホの普及とシームレスな動画視聴の環境整備につながりました。
1-2.ストーリーテリングでイミ消費に対応
動画視聴環境の整備と共に、顧客が体験に基づいて消費行動に移る社会へと変化しました。それと共にブランディングの意味合いも変化を見せ、イミ消費に適応するようになりました。
その変化について行くために、現代のブランディングには、企業が提供できる価値とは何なのかをしっかり固めて、「あるべき姿」を明確にした上で、あらゆる活動を通して伝え、浸透させる活動です。
「イミ消費」時代の現代において、その「あるべき姿」についてのストーリーを過不足なく伝えることができる動画は、現代の情報伝達に必要不可欠なソリューションであるといえるでしょう。
経営理念から採用メッセージ、自社のポジショニングから見る今後の展望に至るまで、さまざまなステークホルダーに対しストーリーテリングな動画を用いることで、企業にもつイメージが築かれるのです。
2.企業ブランディングに動画を導入するメリット3選
ここからは、企業ブランディングに動画を導入するメリットについて解説していきます。
2-1.ブランドストーリーを転用しやすい
商品やサービスの表面的な特徴ではなく、企業のコンセプトや本質的なメッセージを伝えるのに適している点も、ブランディング動画(ストーリーで企業の想いを伝える動画)の魅力のひとつです。
自社の考え方に共感してもらうことができれば、単に商品やサービスを利用してくれるだけでなく、企業のファンとして継続的に利用してくれる可能性を高めることができるでしょう。
例えば、日々忙しい日常を過ごすビジネスパーソンに家でもオフィスでもない第三空間として、コーヒーを味わえる空間といえば、スターバックスコーヒーを連想するのではないでしょうか。
上質で、洗練されている、おしゃれというイメージが店舗の立地やその中の空間、従業員にまで浸透しています。
忙しい中、家でもオフィスでもない第三の選択肢としてコーヒーを味わいながら作業ができる場所として、多くのビジネスパーソンがブランドコンセプトに共感し、利用をしているのです。
このような企業のブランドストーリーは、消費者だけでなく採用候補者や支援者そして社員に対しても転用しやすいです。
企業が実現したい姿について追求し続けたメッセージというものは一貫性が非常に重要です。その一貫したメッセージを動画で表現して伝えることにより、テキストや画像を使用して伝える時よりも、直感的なニュアンスも伝えられるため、ブランド価値がイメージしやすくなるのです。
2-2.「共感」から拡散されやすい
動画はSNSとの相性も抜群です。視聴者に面白いと思ってもらえるような企業独自のユニークな動画を制作したことで、SNSで爆発的に拡散された例も多くあります。
世界中にユーザーがいるSNSで拡散されることで、より多くの人に動画を見てもらうことができれば、企業の認知度上昇につながります。
潜在ニーズを持った顧客だけでなく、特に視聴者を引き込みやすいのはストーリー性のある動画です。ストーリーに伝えたいブランドメッセージを込め、共感や感動を得ることができた動画はSNSで拡散されやすくなります。そうやって副次的にブランディング動画がSNSで広がれば、それだけでブランド価値も向上します。
2-3.不快感なくコンセプトを伝えられる
ブランディング動画のメリットとして、不快感なくユーザーの興味を惹き付けることもできます。興味がない、あるいは必要としていない商品・サービスの広告の視聴を強いられるのは、誰でも抵抗があるものです。
どうしても「宣伝目的」という印象になってしまいがちな従来の動画広告とは異なり、ストーリー仕立てで構成されるブランディング動画は、ショートムービーを観ているかのような感覚で視聴してもらうことができます。
3.企業紹介動画を作る3つのポイント
3-1.共感・感動を促すストーリーを意識する
ブランディング動画では、いかに視聴者の感情に訴えかけて、共感や感動を呼ぶことができるかが重要になります。共感を促すためには、視聴者が興味を抱きやすいストーリー性のある動画を制作しましょう。動画の世界観にマッチしたBGMを選ぶセンスも必要です。
ただし、視聴者に「無理やり感動させようとしている」、「わざとらしい仕掛けだな」などと嫌悪感を抱かれてしまうと、ブランディングにはかえって逆効果です。
例えば、女子高生が新しい化粧品を使うことで、男子高校生にモテるようになったというようなストーリーはサービスブランディング動画には不向きです。同じ女子高生を登場させたとさせたとしても、女子高生の淡い恋心から変わりたいと決心し、踏み出す一歩を応援するストーリーなど、等身大のメッセージを伝えることに専念しましょう。
ブランディング動画では、「あるべき姿」に至るまでのストーリーが大切です。そして、そのストーリーに筋を通すのであれば、「誰に向けた映像なのか」を明確にしておくことが重要です。
効果の高いブランディング動画は、ペルソナ情報(年齢や性別、生活スタイルなど)を考えて作られています。
3-2.企業が社会にもたらす「価値」を理解する
企業が提供する商品やサービスのみならず、全ての活動における価値をしっかりと理解できているかという点も重要です。
伝えたいことは多くなってしまいがちですが、一般的に長すぎる動画は嫌悪される傾向にあります。そのため、他社と比較したときに差別化できるポイントや提供できる価値を明確にして、シャープにストーリーを伝える必要があります。
企業の特徴や強みを把握できていないと要素の取捨選択がスムーズに行えないうえ、ブランディングの成功にもつながりません。
3-3.実現したい世界、経営理念などから動画のコンセプトを明確にする
実現したい世界を伝えるためのストーリーを考えていると、ストーリーに偏りすぎて別のメッセージが伝わってしまうことがあります。
まずはブランディング動画のコンセプトを考え、有効なムービーとは何なのかを考えましょう。
コンセプトがブレてしまうと、伝えたいメッセージに一貫性がなくなり、ステークホルダーからの求心力を失ってしまいます。
例えば、あるホームセンターの社員Aは自社の店舗の特徴を「女性に向けて、DIYやガーデニングを手軽に簡単にできることを提案している店舗だ」と主張しているとしましょう。
その一方で、同じホームセンターの社員Bが「家族が休日にみんなで楽しんでDIYやガーデニングを楽しむことを提案している店舗だ」と主張していたら、消費者や取引先、投資家たちは一貫性がとれていないのかな?と違和感を感じます。
この違和感が、ブランドの求心力を失うことにつながります。
逆にコンセプトが明確に定まっていて、一貫性がある場合は、ステークホルダーからの信頼を得ることができます。
コンセプトがブレないようにするために、自社の社員を巻き込み、機能的な価値だけでなく情緒的な価値まで言葉で定義づけする事が大切です。
何を伝えれば有効な動画になるのかが見えてくると、それをふまえてストーリーを組み立て、シナリオに落とし込んでいきます。
ブランディング動画の最終的な目的はファンを作るということです。経営理念を理解してもらうために、ファンにどのようにリーチし、育成していくかをイメージしましょう。そして制作するブランディング動画の目的とメッセージを明確にしていくことが大切です。
ファンはどのような世界を望むのか、企業が提供できる機能的な価値だけでなくて情緒的な価値にスポットライトを当てるといいでしょう。
4.活用事例
4-1.田辺三菱製薬リクルート動画
田辺三菱製薬の、社風や福利厚生をコミカルに伝える動画です。ビデオ通話で、ふとした瞬間に崩れる後ろの風景。表れたのは、リゾート地。リモートでの勤務を積極的に取り入れている勤務体系を表しています。ほかにも、出産時の育休取得、新人離職率ゼロ、産後の復職率百パーセントと、社員が働きやすい環境がそろっていることがわかります。
社内全面禁煙を取り入れる動きなど、古くから歴史のある会社でありながら、常に時代のニーズを読み働く人の要望に耳を傾けている会社であると伝わります。
4-2.東京テアトル
映画館スタッフたちの映画愛、映画館あるあるをキネカゆかりの映画人たちによって映画化されたものです。 映画と映画館と映画好きな人々の素敵な関係を描きつつ、キネカに限らず「街の小さな映画館が元気になるように!」と願いを込めた作品です。
4-3.住友生命保険相互会社
「どんなことにも保険をかけておきたいAさん」、「健康増進に余念がないが保険には加入していないBさん」、「損ばかりしてきたCさん」など、タイプの異なる男性たちを通して、「日々の健康増進活動で、保険料が割引になったり様々な特典も受けられる新しい保険」という“住友生命「Vitality」”の商品特徴を、CMとは別の側面から訴求しています。
5.まとめ
今回は、企業ブランディングに動画を活用するポイントについて解説しました。
企業ブランドを理解した上で、コンテンツとして表現することはとても難しいことでしょう。一部署内での取り組みにとどまらず、さまざまな部署との社内連携が必要になります。
「イミ消費」の時代になったからそ、ブランディング動画の制作を検討してみてはいかがでしょうか。
CACTASではブランディング動画の制作実績が多数ございます。ブランディング動画制作に係る予算や企画から納品に至るまでのスケジュールなどご不明なことがございましたらお気軽にご相談ください。